ディズニーアニメを原作に
アメリカ ブロードウェイで生まれた
ミュージカル「ライオンキング」ですが、
日本の伝統芸能である文楽(人形浄瑠璃)や
インドネシアの影絵の技法を取り入れた演出で
アフリカの動物たちを表現しています。
人形浄瑠璃の技法で魂を吹き込まれたパペットたち
文楽というのは、
日本の伝統芸能の人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)のこと。
ディズニー映画の動物たちは、
アニメならではの
とっても豊かな表情をみせています。
それを生の舞台で
演出家・デザイナーのジュリー・テイモアは、
文楽(人形浄瑠璃)の技法を使って
キャラクターの特徴と感情を表現しています。
何より画期的なのは、
マスクをつけた
俳優たちの顔も見えています。
マスクや人形と
俳優の動きを同時に見せていて、
互いに共鳴していて
とても深い演技をみせてくれています。
スカーによって王国を追われたシンバを、
砂漠で助けたのが
ミーアキャットのティモンとイボイノシシのプンバァ。
細くて表情豊かなミーアキャットのティモンと、
まるまる太ったイボイノシシのプンバァ。
舞台芸術家のジュリー・テイモアは、
彼らの身体の特徴を「パペット」で表現しました。
俳優の身体の前に
パペットが取り付けられているティモン。
身体の小ささを表現するのに、
ジュリー・テイモアは、
試行錯誤の末、
日本の伝統芸能である文楽の手法を取り入れました。
文楽では、大きい人形を
黒装束の姿の人間が舞台の上で操作しています。
時には黒装束でなく、
人形遣いが顔を見せて舞台に立つ事も。
ジュリー・テイモアは、
この日本の伝統芸能から
インスピレーションを受けたそうです。
一方で、大きな身体のプンバァ。
大きな頭と、
今にも地面にくっついてしまいそうな
お腹を作り出すのに、
ジュリー・テイモアは、
俳優の身体の前と後ろに
パペットをくくりつけるという手法をとりました。
俳優は両腕でプンバァの巨大な口を動かします。
また、頭部から突き出た俳優の頭は、
プンバァの髪の毛を表現しています。
ちなみに、ティモンの顔は、
ラテックスフォームという素材で作られています。
特殊メイクなどにも使用されている素材で
とても繊細で中に気泡が入ってしまうと、
そこから裂けてしまうほど。
様々な表情をみせるティモンですから、
伸縮性に富んでいるラテックスフォームが
使われているそうです。
そして、表面に塗られた絵の具も専用のものです。
しかも、生の舞台では
何が起こるか分かりませんから、
パペットは常時、
それぞれ予備のものが用意されています。
俳優の身体と一体化したパペットは、
演じる俳優の手の感覚や体型に合わせて作られていて、
ティモンだけでも7体もあるそうです。
⇒ライオンキングの「影絵」のルーツはインドネシアの影絵芝居「ワヤン・クリ」